0 三重プラス

おばたレディースクリニック


安心、安全をベースに、きめ細やかで快適なお産をサポート

お産をとりまく状況は一昔前に比べ様変わりしている。産科医不足が進み、分娩施設は減少の一途を辿る。
 少子化を背景に、このままの状態が続けば日本は人口減少が確実に進むと言われている。
そんな中、「おばたレディースクリニック」は、思春期から妊娠、出産、更年期まで、女性の一生を通じた体の変化をきめ細かくサポートすることで好評を博している。
小畑英慎院長に、産婦人科の現状や今後の課題などを語ってもらった。

 四日市市川島町の「おばたレディースクリニック」は、平成15年、小畑院長が34歳で開院した。ホテルでくつろぐかのような雰囲気の病室で、陣痛室は設けず、分娩まで病室で過ごすことができるよう、全ベッドに分娩監視装置が設置されている。分娩室はナースステーション、手術室と直結しており、あらゆるお産に対応でき、妊婦が安心してお産に臨む環境が整っている。年間の出産件数は約700件。
 小畑は、父が市職員の家庭で育ち、子どものころから「漠然と、人と接する職業に就きたい」と思っていた。高田中から高田高校へと進み、三重大学医学部に入学。医師の道を志した。産婦人科医を選択したのは、「女性の体は神秘的。すべてを診ることができ、外科から内科まで幅広い知識、技術を必要とする」やりがいのある現場だったからだ。「医師は職人なんですよね」と話し、大学在学中、産婦人科医を専門とする元豊田長康学長(現鈴鹿医療科学大学長)の影響も大きく受けたという。
 卒業後、大学病院で臨床を学んだ後、三重県立志摩病院、伊勢赤十字病院、新宮病院などを経て、再び三重大学で7年勤務し、独立開業した。
 「基本は医師ですから、安全、安心がベースですね。これは絶対譲れない。その上で丁寧に病気を治し、出産の場合ならお母さんの精神的な負担をなくし、安心して生みたいという女性のニーズに応えたいと思います」。
 お産は妊婦にとって、今も昔も命がけの仕事だ。「普通に生まれて当たり前」だと思われがち。医療の進歩や医師の努力で、安全なお産への改善は成されているものの、やはり母体や新生児へのリスクやトラブルは切り離すことはできない。

「手ぶらでお産」がコンセプト

 クリニックは、「手ぶらでお産」がコンセプト。不安を取り払ったうえで、施設やサービスの充実も欠かせないという。全室にシャワー、トイレを完備し、アメニティグッズやタオルなど入院時に必要なものはすべて病院側で用意しており、付き添い家族の布団の貸し出し、食事の用意もある。
 専属の料理人が食事を提供するのも人気の一つ。和食、イタリアン出身のシェフ4人をそろえ、さまざまな食材をバランス良く組み合わせ、旬の味覚を大切にしながら提供している。また、少しでも楽しい入院生活を送ってもらおうと、オープンキッチンも整備。毎週火曜、金曜日を「ランチデー」と銘打ち、赤ちゃんはナースステーションで預かり、新米ママらがのんびり、リラックスしてランチを楽しめる時間も設けられている。
 タオルやパジャマ類は、備え付けのものを自由に使え、洗濯も病院スタッフらが引き受けてくれる。産後の疲れを癒やすためにと、アロママッサージでのリフレクソロジーも導入している。「当たり前のことですが、なるべく負担を少なくしてあげたいんです」と、ホテルと同じ仕様を取り入れている。
 婦人科では、生理不順、子宮筋腫、陰部異常、更年期障害など女性特有の診療のほか、子宮頸ガン検診、ブライダルチェック等も行っている。ピルの処方、月経変更、予防接種等の相談も可能。市町村からの依頼の子宮頸ガン検診、子宮頸ガン予防接種も受け付けている。

医師であり、一事業主として顧客のニーズに応じた医院運営を目指す

 30歳で開業を考え出したころ、三重県中の開業医を調査した。なぜはやっているのか、はやっていないのか。自分なりに分析してみた。当時はすでに少子化が叫ばれ始めていたころ。「これからの産婦人科の在り方」を真剣に考えたという。医師であると同時に事業主でもある。事業を失敗させてはならないし、時代の変化にも適応していかなくてはならない。
 「実は、病院の明細は当時、細かくなかったんですよね。なので費用を分かりやすくしたのです」
 「医師」というだけで、いい意味でも悪い意味でも優遇されていたのは一昔前まで。その思考は良くないと思っていたからこそ、ビジネスの発想を取り入れつつ料金体制の見える化に取り組み、分かりやすくした。
 「患者さんの喜ぶことは何でも、できるだけやりたい」が原点。人がやっていないことを実践しなければ、生き残れない。コストはかかるが、明確に将来を見据え、顧客のニーズに応じた医院運営を目指してきた。

少子化の時代を見据えて―。 産科医としての立場から

 一方で、現代は確実に少子化の時代だ。内閣府によると、日本の人口は平成17年に減少局面に入り、少子化問題は社会経済の根幹を揺るがしかねない、待ったなしの課題となっている。
 社会の希望、未来の力となり、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備し、子どもが健やかに育つことができる社会の実現のために、政府も総合的な少子化対策に取り組んでる。
 だが、小畑は言う。「国の少子化の取り組みはまだまだ甘い」「例えば、お産にかかる費用は地域によって違うが、三重県でだいたい50万円前後。自己負担は10万円くらいだが、10万で子どもを生める、という議論は賛成できない。お金をかけてやればいいというものではないが、出産し、子どもを育てていくことにももっとお金をかけるべきです」
 三重県での初妊娠年齢が昨年、30歳を超えた。女性が大学を卒業して就職しキャリアを積むと、どうしても出産時期が遅くなってしまう。年齢と共に妊娠の確率は徐々に下がり、妊娠中のトラブルも増えるとされている。高齢での妊娠は今の社会では仕方のないことだが、何の情報もなく生活していると気付かないうちに妊娠に適した時期を逃してしまい、後悔しかねない。最近の出産の傾向としては、女性が仕事でキャリアを積むことが普通になってきたことで晩産化に拍車がかかり、高リスクな妊婦が増えている印象がある。
 では、少子化を食い止めるにはどうすれば良いのか。小畑は「もっと若いうちに子どもを産むということを考えていかないといけない」と訴える。極端な発想としつつ、「例えば、女性は大学卒業後、5年間くらいの期間で妊娠、出産を経験し、その後に就職できるような担保期間や制度を設けるとか、そんな大胆なことをしていかないと」と話す。
 また、性と命を伝えるために、中学生向け性教育の充実も念頭に置くべきだとしている。
 環境が整わないから子どもをつくらない、子どもが少ないから取り巻く環境が悪くなる―。そのような負のスパイラルに陥っている現代。人口減少問題への対策は急務だと、医師の立場から厳しく見つめ、改善を訴える。

関係機関と連携し、現場から積極的に少子化対策への発信を

 「妊婦さんをいっぺんに増やすことは無理ですが、安全で満足いく出産を続けていくことをベースにしながら、産婦人科医会、医師会、行政などと一緒に少子化対策に取り組んでいきたい」と、関係機関との連携も見据えながら「産婦人科の現場からの少子化対策への発言をしていきたい」と話す。
 毎日妊婦と接していると、個々に抱えている問題を知ることができるという。2人目を出産するときに1人目の預け先がない―行政サービスが足りないなど、具体的に悩んでいることを耳にする。「情報の蓄積ができ、若い人の声をまとめて行政に届けることはできると思うんです」「社会の縦、横のつながりが結べるよう、医者としての立場から発信していきたい」。
  開業して約10年以上がたった。産婦人科医として、また経営者として軌道に乗った時期でもあり、「現在の達成度は7割くらいです」と笑顔をのぞかせる。たまの息抜きの趣味は、ゴルフとピアノ。これからも、対話を心掛けながら女性の心と体に寄り添い、トータルメディカルサービスとしての医療を提供し続ける。

おばたレディースクリニック

〒512-0934
四日市市川島町6842-1
Tel 059(320)1212
HP / http://www.obata-lc.com/

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