0 三重プラス

ドラゴン食堂


自分の考え作り出したものがどう思われているのかという気持ちが芽生えた。

中華とシェリー(スペイン産のワインの一種)。そのシェリーというのが紹興酒に似た風味だという。
シェリーと紹興酒、似ているものの大きな違いがある。シェリーはワインの一種で原料は葡萄である。
まじりっけのない天然成分で作られている。一方の紹興酒は、もち米にたいして甘みを加えている。

 ドラゴン食堂オーナーシェフ中尾洋介は、三重県伊賀市で生まれ、四日市市富州原町で育つ。兄と姉がおり3人兄弟の末っ子。
 地元の高校を卒業した後、大阪の大学に進学。その後、3年サラリーマンとして営業で働いたが、大学時代にずっと飲食店でアルバイトをしていて、そのころから『飲食業をしたいな』という気持ちはあった。とりあえず就職はしたものの、3年経っても飲食業への熱意は消えなかった。そして、サラリーマンを辞め、大阪の辻調理師専門学校に通い、そこで、和・洋・中の全てを勉強した。

厨房では兄とも言えども他人

 大阪にある青冥(チンミン)という店で2年程修行をした。そこで修行をしていた間は、トントン拍子でうまくいった。そこまで大きなお店ではなかったため、やる気さえあれば先輩後輩関係なくどんどん仕事を任せてもらえるようになった。
 その後三重県に戻り、川越町で兄がお店をオープンさせるというので、そこで働くことになった。そして、2007年に「楽山居」をオープンさせる。兄は、もともと名古屋のホテルで料理長をしていた。そんな兄と二人で鍋をふった。厨房に立つと兄弟という意識は全くなかった。
 修行時代に一番大きかったのは鍋をふらせてもらうということ。自分自身で作らないと、頭の中で作り方や工程が分かっていても、鍋をふってみることが一番重要になってくる。 普通の大きなお店だと鍋をふるまでに10年以上、下積みを必要とするところもある。 そんな中で、中尾は個人店でなんでも早いうちに任せられ経験していった。

自分の料理がどこまで通用するか試してみたい

 独立するキッカケとなったのは、大学時代にアルバイトをしていたお店の社長と辞めてからも付き合いがあり、会って話をしていた時に後押しされた。中尾自身慎重派な性格で、なかなか自分から行動をおこせなかった。楽山居では鍋をふることはあっても、自分で考えた料理を作り出すということはさせてもらえなかった。言われたとおりのものをいかに忠実に作れるかだ。コースなどで提供していて、どちらかといえば高級で厳格なイメージの店だ。
 料理人をやっている以上、やはり自分の考えで作り出したものがどう思われているのか試したいという気持ちが芽生えてくる。
 そして楽山居を辞めると言ってから、約8ヶ月後にドラゴン食堂をオープンさせた。
 だが、オープンする1ヶ月前まで厨房に立っていたため、実質の準備期間というのはほとんどなかった。

ドラゴン食堂ならではのオリジナリティ

 楽山居と全く違ったコンセプトを考えていた中尾は、自分自身が行きたいと思えるお店づくりだった。パクチーやにんにくの香りでつくった料理だとかが、この辺で食べられるお店が少ないと思っていた。前に働いていたお店ではパクチーはいっさい使用していなかった。自分が外に食べに行って『おいしいな』と思ったものを自分流に再現したりする。
 ドラゴン食堂の一番の売りは、中華とシェリー(スペイン産のワインの一種)だ。そのシェリーというのが紹興酒に似た風味だという。シェリーと紹興酒、似ているものの大きな違いがある。シェリーはワインの一種で原料は葡萄である。まじりっけのない天然成分で作られている。一方の紹興酒は、もち米にたいして甘みを加えている。なので、シェリーは紹興酒に似た香りと、ワインの酸味を併せ持ったお酒なんです。だから、中華料理の独特の脂っこさを流してくれるのはなんだろうと考えた時に酸味ではないかと思った。そのとき中華料理とシェリーの相性は抜群だと思いついた。
 中華料理とシェリーを一緒に提供しているとこを調べたところ、日本にはまだドラドン食堂しかない。中尾自身も四日市でそういったことを始めるという試みは冒険だと思ったようだ。受け入れられるかという心配や不安もあったが、他にない店をつくれば絶対人は集まってくれるという考えが中尾にはあった。その思いからドラゴン食堂には「中華料理とシェリー」という唯一無二のコンセプトが生まれた。
  「中華料理とシェリー」合う合わない、好き嫌いは個人の好みもあるが、中尾は自信をもってお客様に提供している。そひて、中尾の自信作の「中華料理とシェリー」に魅了されたお客様は、リピーターになりいろんな人にその良さを広め、お店に連れてきてくれるのだという。そんな根強いファンをつくるのがドラゴン食堂の強みだ。
 ドラゴン食堂では30種類ほどの中華料理が食べられる。シェリー酒が20種類、ワインが赤と白各8種類ずつ、シャンパンが5種類という豊富さ。お酒の種類が豊富なのは、中尾が「お酒に合う料理」を念頭に提供しているからだ。ドラゴン食堂に来るお客様のなかでもシェリーを初めて飲む人が多く『何から飲んだらいいの?』と聞かれる。そんなお客様に中尾は『この料理には、この飲み物が合いますよ』とレクチャーする。

まわりの環境に支えられた

 中尾には、妻と子供が2人いる。独立する上でやっぱり妻の支えが大きかった。しかし、中尾は妻に限らずアルバイトとして働いてくれている人にも感謝している。中尾は自分を助けてくれる人だと感謝の気持ちで接していれば、向こうもそういう気持ちで応えてくれる。そんなまわりに対して真摯な態度で接する中尾には、いろんな人がサポートしてくれている

これから独立を考えている人に

 これから独立を考えている人に中尾なりのアドバイスを伺ってみた。
  『迷わず勢いで一気に行く、止まらずに突き進むことが大事だ』と言う。中尾自信前の店を辞めてから、今までに2軒しか修行をしてなかったので、他のお店を見て回りたくなった。味や調理法を見てみたいと思ったようだ。しかし、まわりの独立している方々に聞くと、そういうのはブレてしまうからやめたほうがいいと言われた。そして、なんとかなるから自分の味を信じてやったほうがいいと言ってもらった。その方々は、追い込まれたほうが自分でなんとかやるという考えだった。中尾自身、今まで自分で考えた料理をふるっていたわけではなかったため、ドラゴン食堂がぶっつけ本番だ。けれど、自分を信じてなんとかやっていけるようになっていった。今となれば、その言葉通りだたと振り返る。

オーナーシェフとして、これから目指すもの

 お金云々よりも、自分のやりかたでお客様が喜んでくれたり、集まってくれること、地域に必要なお店と思ってもらえることが、他のなによりやりがいを感じているという中尾。
 地域に必要と思ってもらえるようなお店じゃないと生き残っていけないと考えている。いずれかは、この四日市で地元の人に雇用を増やせるようにしたり、遠方からのお客様に集まってもらえるようなお店をつくっていけたら、と中尾は夢を語る。
 何よりこの四日市が発展できるようなお店づくりを目指している。

ドラゴン食堂

三重県四日市市諏訪栄町7-30 7番街ビル1F
TEL / 059-355-3355
≪営業 時間≫
18:30~26:00(L.O. 25:15)
日曜日定休

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