武宮恵子の名作漫画『地球へ(テラへ)』。未来の世界はコンピュータが政治を行っていて、人間はコンピュータの決めたことに従って生きていた。ターミネーターのスカイネットのように「コンピュータが人間を支配している」とまでは言えないんだけど、子供心に「機械に支配される世界なんて嫌だなあ」と思った記憶がある。
でも最近、政治はAIがやったほうがいいんじゃないか?と真剣に思うようになった。ネットの世界はどんどん進化している。でも法律がその進化についていけてない。例えば今、AIが絵を描いたり小説や音楽を作ったりするようになった。でもその著作権をどうするのか?という部分で、法律はまったくついていけてない。そんな例は他にもたくさんある。政治家は年輩の人が多いので、最新のコンピュータの技術は理解できないのだろう。
それに、人間の政治家はどうしても自分の支持者が得をする政策をやろうとする。でもAIは感情がないから、個人の損得なんか考えずに、真に国民が豊かに、幸福になる政策をやってくれるんじゃないかと思う。
でも、やっぱ怖さはある。AIは賢すぎるので、AIの決定に対し人間は「なぜそんな決定をしたか?」を理解できないからだ。ある日、気が付いたら、人間は何も考えずにコンピュータに指示されながら生きるだけの存在になっているかもしれない。それもなんだかなぁ。
まあ、そういう危険性はあるだろうけど、AIの進化は人間にとって~今のところ~素晴らしいことだと思う。肉体労働や食料生産etcをすべてAIが担うようになったら、人間は労働から解放され、いわゆる「ユートピア」で暮らすことができるだろう。
でも、貧富の差が拡大する可能性はある。例えば、ある会社が今まで10万人の社員を使って製品を生産していたとする。でもAIロボットを導入することによって、1000人ぐらいの社員で同じ量の製品が作れるようになったら、99,000人の人は失業してしまう(※)。つまり、ごく一部の人に富が集中してしまうのだ。
それを防ぐには、分配がうまくできるかどうかにかかっていると思う。政府がごく一部のお金持ちのお金を巻き上げて配ることができれば、人類は労働から解放されたユートピアで暮らすことになるし、分配がうまくいかなければ、ユートピアに暮らすごく一部の超絶金持ちとディストピアに暮らす一般大衆にわかれてしまうだろう。
人類は今、大きな変革の前夜にいると思う。これから10年、20年、30年の間に、いろいろなことが大きく変わるだろう。AIは人間にユートピアを与えてくれる神のような存在なのか?それとも人間を支配する悪魔のような存在なんだろうか?
(※)産業革命のときは資本家が労働者を搾取していて、それが原因で左翼運動が起こった。しかし近未来の社会では、資本家はAIに働かせて富を得るから労働者から搾取する必要はない。単純労働者は「ビジネスに必要とされない存在」になり、スポーツや芸術、ボランティア活動など、自分の好きなことをしながらベーシックインカムで生きていくことになるだろう。それが人間にとって良いことなのか、悪いことなのか? 僕にはわからない。