僕には叶いそうもない夢がある。それは「死ぬまでに地球外知的生命の存在を確認したい(※1)」というものだ。
地球外知的生命といっても、UFOに牛の血を抜き取られたとか、宇宙人に妊娠させられたとか、同じクラスに顔が宇宙人に似た奴がいるとか、そういった矢追純一チックなものじゃない。地球外知的生命が発する電波を地球で受信できれば、彼らの存在が確認できる(※2)。その試みは既にNASAで行われていて、「SETI(セチ)」と呼ばれている。
そのSETIを題材にした映画が「コンタクト(※3)」だ。SETIに携わる女性天文学者のエリー(ジョディ・フォスター)は、ある日、宇宙から届く人工のものとしか思えない電波をキャッチする。その電波を解読すると、なんと宇宙船の設計図だった。アメリカは総力をあげてその宇宙船を建造するが、テロにより破壊されてしまう。しかし大富豪・ハデンの建造したもう一機は無事完成し、エリーが搭乗員に選ばれる。エリーが宇宙船に乗ることに反対する彼に、エリーは言う。「人がどこから来てどこへ行くのかが少しでもわかるなら、命を懸ける価値はある」。
彼女の気持ち、凄くわかる。僕ももし地球外の文明を見ることができるなら、死んだっていいと思う。でも残念ながら、その機会はきっと来ないだろう。でもいつか、いつの日にか、人類は地球外文明とコンタクトを取ることになるだろう。人類も宇宙のファミリーに加わるのだ。想像しただけでわくわくする話じゃないか。
(※1)太陽系も地球も、宇宙ではごくありふれた星系であり惑星である。その地球に知的生命がいるなら、他の惑星にもいるはずだ。地球にしか知的生命がいないと考える方が無理がある。
(※2)電波は宇宙空間でも光速で伝わるので、もし宇宙人が電波を発信していれば、地球で受信できるはず。あまりに微弱なためキャッチできないだけかもしれない。
(※3)原作は宇宙物理学者のカール・セーガン。彼はSETIの中心的人物でもある。著作も多く、物理学者のくせに詩的な良い文章を書く。